脂質異常症（高脂血症）

脂質異常症を健康診断で指摘される方は多いですが、自覚症状をともなう方はほとんどいません。しかし、知らないうちに進行し心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす厄介な病気です。 
血液の中には、「脂質」と呼ばれる成分があり、主にコレステロール・中性脂肪・リン脂質・遊離脂肪酸の4つに分類されます。これらはすべて、私たちの体にとって欠かせない重要な役割を担っており、コレステロールは細胞の膜を作ったり、消化を助ける胆汁酸やホルモンの材料になったりします。中性脂肪はエネルギー源として貯蔵されるほか、体温を保ったり、内臓を保護したりする働きがあります。
脂質異常症とは、こうした脂質が増えすぎ、血液がドロドロになっている状態です。脂質異常症が長期化すると、余分な脂が血管の壁にこびりつき、動脈硬化（血管が硬くなったり、狭くなる）が進行し、血の流れが悪くなったり詰まったりします。

LDLコレステロール高値が確認された場合、まず上記のフローチャートを用いて各々の治療目標値を決めます。軽度であれば生活習慣を改めて頂き経過観察します。投薬が必要な場合は、効果的にLDLコレステロール値を改善させるスタチン系薬剤で開始することが多いです。内服開始後に血液検査を行い、治療目標値に到達するよう容量を調整します。血液検査には稀に発症する副作用（肝機能障害、横紋筋融解症など）を早期に発見する目的もあります。
治療目標に到達しない場合や副作用が出現した場合、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬を併用したり切り替えたりします。